《スターリ・イデアール》ラードスチ・クリスビッチ・キリウ
   ──理想を求める鋼眼の騎士

ラド

種族:ヒューマン 強化:なし
クラス:ウォリアー スタイル:
クラッシャー
チーム:パラクセノ
ランク:A
能力値:P12 T2 S1
貢献値:AUG+8 EE+6
年齢:28歳 性別:男性
誕生日:5月8日
身長:185cm 体型:普通
髪色:深緑色 瞳色:茶色 肌色:色白
一人称:俺
二人称:あんた、〜さん
口調:〜だ、〜だぞ、〜そう言う訳か?
装備:
斬鉄刀
強化繊維服
ジュアス【スターリ・リーリヤ】
ウォトカの瓶
百合のブローチ

スキル:
機兵操縦能力
先読み
再生能力
鋼の左目
異常身体能力

特殊スキル:
オーラ
   
   


   
「こう寒いとウォトカが飲みたくなるな。あんたもどうだ?」
 「誰かに目撃情報を聞きたいが…似顔絵も満足に描けないな…」
  「イオ、イオってか。いやだいやだ。俺の相棒はジュアス…リーリヤだ」
   「俺の目は今もない…。それでも、理想を捨てなければ…リリは…」
    「理想論…か。そればかりだ。諦めた方が楽になれるのかもしれないが…
     好きな奴を忘れるなんて、出来ねえよな…諦めたくはねえよ…」
性格・経歴・設定
【性格・外見など】
流れ者が勝手に行動するチーム「パラクセノ」に在籍するブレイカー。
彼の性格と「乗機」から、「スターリ・イデアール(鋼の理想)」と呼ばれる事もある。
愛称は「ラド」。女性的なミドルネームを嫌う。
元はエウロパ軍人であったが、とある出来事の後に脱走。
軍から持ち出した「ジュアス」を白く塗装し、巨大な斬鉄刀を使用して戦闘を行っている。
アーレント結晶を使用していない、純然たるパワードスーツである「ジュアス」は、
性能において完全に「ウィジェ」に劣るが、
ラードスチは、類稀なる腕力と反射能力を有する自身の肉体能力を数倍まで高める事で、
「ジュアス」を使用して「ウィジェ」と戦闘する事も可能としている。
ただし、個人でやれる範囲には限界がある為、今では依頼を受ける事は殆どない。

緑がかった黒い髪を適度に伸ばし、茶色の瞳は生気を失った暗さを有している。
性格は気さくだが、デリケートでもあり、一度キレると手が付けられない。
お酒が好き。特にウォトカのオン・ザ・ロックが好物であり、1人で飲んでいる。
とある目的を持ってブレイカー活動を行っているのだが、
その思い出を誰かに喋り出す事は、昔はあったが、今は既にない。
理想論を好み、リアリズムを嫌っているが、それもまた過去に理由がある。
「似合わない」とよく言われるが、常に、胸に百合のブローチを付けている。
なお、致命的に絵が下手であり、それで苦慮した経験も多い。

【境遇】
AUGの某R国で産まれた、R国人とJ国人のハーフであるヒューマン。
6歳になる頃に、AUGに嫌気が差した人間たちがエウロパに行く為の移民船へと、
両親の手で共に搭乗させられ、以降はエウロパの人間として暮らして来た。
幼かったが故に、故郷に関する記憶は既に殆ど持たず、(雪だけは覚えている)
エウロパの生活に馴染んでいるが、誰にも通じないR国語が心の底から離れない為、
自身はエウロパ人ではなく、あくまでR国の人間なのだと言う誇りを有している。

エウロパにおいて、19歳になり大学で勉強していた頃、事件が起こった。
当時は、軍事国家であるエウロパが量産開始した「イオ」を巡った戦闘が頻発しており、
あるブレイカー集団と「イオ」の戦闘に巻き込まれて、彼は家族を失った。
更に、大学も崩壊し、自らの左目も光を失ったのだ。
左目に応急処置を行い、一時は「イオ」やエウロパの軍部、ブレイカーを憎んだが、
憎んでいるだけでは親も浮かばれないと考え、それならば自分が軍人となり、
無意味な戦闘を出来るだけ回避して見せようと思い立ち、軍への入隊を決意。
たかだか自分1人が軍人となった所で、現状は何も変わらないだろう。
口にすれば、リアリストたちに「何を理想論を…」とバカにされるとは知っている。
だが、自分が悲劇に遭ったが故に、他の人間が同じ悲劇に遭う事は赦せなかった。
学者の家庭に育ち、非凡な能力を有していた彼は、簡単に軍への入隊テストに合格。
将校へ昇るキャリアコースを進まないかと勧められたのだが、
それでは自分の目的達成までに時間が掛かり過ぎるが故に、現場を志願した。

成績が良い人間は、優先して「ウィジェ」の適応テストを受けられた為、
「ウィジェ」に乗れるならば、自分の考えも単なる夢物語ではなくなるだろうと、
彼は、比較的「アーレント結晶が有する意識体」とやらの選り好みが激しくない、
「イオ」の中でも旧式の機体への搭乗テストを志願した。
だが、彼と「意識体」との相性はあまりにも悪く、「イオ」にすら拒絶されてしまう。
こんな有様では、自身の思っていた事は、本当に夢物語ではないか。
彼が茫然と歩いていた時、軍部の化学班らしき人間から「アーレント適合」の話を聞く。
「適合手術」を行えば、元来アーレント結晶との相性が悪い人間であっても、
自分の適合数値を圧倒的に上昇させる事が出来る、試してみないか…?と誘われ、
願ってもない話だと胸を高鳴らせたが、そこに1人の少女が現れ、口を挟んだ。
「ホラ言うんじゃないよ、おっさん。どうせ、この人を実験台にしたいだけでしょ?
 適合手術は、元々能力を持った人の適応力を高めるだけじゃん。
 この人には能力自体が存在しないのに、適合手術だなんて何をすんのよ」
そう言われると「やれやれ、君も酷い子だな。彼に事実を突きつける事もあるまい」
と返した博士に向けて「知っておいた方がいい事だってあんの。しっしっ」と言い、
舌を出して、博士を追い返した。
彼は、自分が危うく騙される所だった事も忘れ、口を開けて彼女を見ていると、
「何よー、口を開けてると、だらしなく見えてさ、いい男が台無し」と明るく笑う。
意識がおざなりになると共に、彼女から目を離せなくなる。
ロングヘアの「銀色の髪」に「宝石の様な茶色の瞳」、愛嬌を感じる顔をした少女。
恐らくは、一目惚れだったのだろうと思った。
自己紹介を終えた後、「最新型ウィジェ」のテストパイロットに選ばれていると言う、
少女ではなく、何気に自分と同年代であり、同じ移民船に乗っていたらしい女性……
自分と同じ某R国出身の「リーリヤ・スマトロェーチ」に、彼は惹かれた。
その後、同郷だなんて何かの縁だと言われ、何度か会う内に、ラードスチは彼女の為に
軍で戦うのもいいかもしれないな……と思い始め、とある日にその事を告げた。
告白も兼ねた話だったが、彼女は満面の笑顔を見せた後、烈火の如く怒り出し、
「何、理想を捨ててるのよ。ラドは自分の理想をちゃんと貫き通してよ。
 現実逃避なんて、いやだいやだ。ちゃんとするなら、お姉さんはOKだよ?」と。
ラードスチは苦笑し、改めて「戦争を減らす」自分の理想を思い出し、その上で、
リーリヤ…リリと共に、軍部で理想の為に「ちゃんと」活動する事を宣言した。
彼女は「それなら、あたしがラドの目になったげる。嬉しい?」と返し、
ラードスチが頷くと、彼女はラードスチの胸に、百合のブローチを付けた。

その後、ラードスチは「ウィジェ」やアーレント結晶に頼る事を止め、
自身が潜在的に有しているらしい、人間離れした剛腕と反射神経を活かす為、
左目に義眼を埋め込んだ後、純粋な機械兵器である「ジュアス」への搭乗を決意。
1年の特訓で十二分な成果を出した彼は、ジュアス34部隊副隊長に任命される。
「ジュアス」は全くアーレント結晶を使用していない、
「ウィジェ」が普及している現代において、既に時代遅れのパワードスーツであったが、
使い方次第では「ウィジェ」の撃破も可能なポテンシャルを秘めている。
今や、自身の隊がブレイカーを追い払う事もあり、理想に近付いていると感じていた時に、
今度は、彼が今一番大事にしている……
しかし、もう半年も連絡が無く心配していた、リーリヤに関わる事件が起きる。

A.A.82、彼が25歳になっていた時、木星付近にフローターズが出現。
最強の「ウィジェ」である「ジュピター」の力ならば一網打尽に出来るのだが、
「ジュピター」の投入には国家予算が動く為、国がストップを掛けており、
エースが駆る「イオ」隊が辛うじて食い止めている状況であった。
ジュアス隊が出撃しても、エースの「イオ」が飛び交う戦場において何の役にも立たない。
そこに投入されたのが、リーリヤがパイロットを務めていた「コメット試作4号機」。
ラードスチは、その機動を見て、搭乗しているのはリーリヤだと直感で理解した。
「イオ」の数倍の力を有する可変型「コメット」は、フローターズをたちまち撃破し、
戦況がエウロパ側へと転んだが、唐突に出現した、人型をしたフローターズの
攻撃を背後から受けて、リーリヤが搭乗していた「コメット」は大破。
結局、戦闘は終了したが、「コメット」は宇宙に流されたらしく、回収されなかった。
ラードスチは、好きな女性がいなくなるのを見ている事しか出来ずに、
何が理想だと感じていたが、ポケットの中に入れていた百合のブローチを見て、
「コメットは行方不明なだけなのだ。まだ生きているかもしれない…」と考えた。
そして、彼は自らの立場を捨て、ジュアスを持って宇宙へと逃亡。
既にAUGとエウロパの戦争が始まっていたが、それは彼には関係のない話だった。

【その後】
ラードスチは、盗み出したジュアスを持ち、ブレイカーの巣へと足を踏み入れた。
恐らく、大破した後に宇宙を漂流したであろう「コメット」の行方、
また、リーリヤの行方を探す為に、情報収集しつつ、ジュアスのカスタムを開始。
その外見は、自分とリーリヤが好きだった、某R国で放送されたアニメである、
「宇宙の騎士」をイメージし、全く軍用のジュアスとは違ったヒロイックな形状になる。
半年後に完成した「スターリ・リーリヤ(鋼の百合)」と名付けたジュアスと共に、
リーリヤを探す為、彼は古参のチームを渡り歩く。
何故渡り歩く羽目になったかと言うと、宇宙に流された女性を探している目的を話すと、
「理想論だ、現実を見ろ、坊や。女は沢山いるぞ」……等と笑ってからかわれる為、
本気で「理想論」を実行している彼は、相手を半殺しにして脱退する為である。
数年が経ち、彼を受け入れるチームは少なくなり、ラードスチが行き付いたのは、
「パラクセノ」と呼ばれている、来る者拒まず、去る者追わずの流れ者のたまり場。
リアリストばかりの周囲に彼は理想を諦めそうになっており、
酒場で酒浸りの生活を送っていたのだが、彼の前に、見覚えのある少女が現れる。
「リーリヤ?」と声を掛けた彼だが、その姿を見て勘違いだったと脱力する。
顔立ちや背格好は、確かに見間違える事は絶対にない、成長したリーリヤだった。
だが、銀髪はピンク色に変貌しており、茶色の目はオッドアイになっていた。
更には耳が生えており、その姿は、ヒューマンではなく、ニューエイジだった為だ。
そんな彼女は、やはり見覚えのある笑顔を彼に向け、
「あんたのそのジュアス、カッコいいね。好きなアニメがあってさ…何だか似てる」
そう呟き、彼は、やはりリーリヤなのではないか?と思ったが、外見の影響から
信じられなかった為、久々に趣味的な会話をして、彼女と別れた。
別れた後に「何かあったのかもしれない。やっぱりあいつはリーリヤだ」と思ったが、
酒場の外に出ても、既に彼女はその場にはいなかった。
彼は、理想を追う心を、少しだけ取り戻した。
実際には違うのかもしれない。
だが、諦めるのは、リーリヤに似ていた彼女を探し出してからでも遅くないはずだと。
今も彼は、ウォトカを片手に持ち、見えない恋人を探して生き続けている。
ジュアスを装着している時…仮面の下でのみ見せる、涙を拭いながら。

【装備概説】
■斬鉄刀【ピェズウーミエ】
 AUGの某J国において、旧世代に使われていた巨大剣の軍事改良型。
 2m以上の全長、1mに達する全幅を有する重量武器だが、ラドは軽く持ち上げる。
 「スターリ・リーリヤ」で戦闘する時に使用する武器でもあり、
 ラドの超腕力で、超重量を直接相手にぶつける単純な攻撃は、非常に強力である。
 武器の表面にはアンチ・ティンクル・コーティングが施されており、
 光輝兵器を受け流すシールドとしても機能する。

■ジュアス【スターリ・リーリヤ】
スターリ・リーリヤ
 型式番号:EJA−TypeS137CT
 基本全長:2.290mm
 走行速度:130km/h
 飛行速度:250km/h
 基本出力:18万馬力(ラド装着時)
 ラドが軍部から盗み出した高性能小型ジュアス(パワードスーツタイプ)を、
 白と赤色に塗装し、各部に強化パーツを組み込んでカスタマイズした機体。
 通常型から頭部や各部を変更しており、出力・装甲・機動性の全てにおいて、
 能力の効率化を図り、改造前よりパワーアップしている高性能機である。
 スラスターの強化によって、宇宙での高速機動も可能としている。
 非常にヒロイックな外見になっているのだが、それはラドが幼少時に見た、
 某J国で旧世紀に放送されていたと言う「孤独な白い宇宙の騎士」のアニメが影響。
 リーリヤもその作品が好きだった為に、彼女が見たら自分だと分かる様に、
 この形状にしている。頭部には百合の紋章が存在する。
 なお、一部の装甲は最強の「ジュピター」を思わせる青緑色になっているが、
 これはアーレント結晶内蔵装甲ではなく、ただの威嚇塗装でしかない。

■ウォトカの瓶
 そのままである。これは装備と言えるのだろうか?

■百合のブローチ
 ラドが「決して形見ではない」と語る、リーリヤに貰ったブローチ。
 若干錆びているが、ラドは壊れない様にとメンテナンスを欠かしていない。

スキル概説
▼機兵操縦能力(射程:至近 標的:自分)
 ウィジェ、ファラク、ジュアスへと搭乗可能になるスキル。
 所有者の設定・アーレント適正・S値・所属で、どの機体を扱えるかが決定します。
 アーレント結晶に適合していないラードスチはジュアスしか使用出来ません。

▼先読み(射程:遠距離・範囲)
 類稀なる反射神経と頭脳で、相手の行動を読み取り、攻撃を回避した上で、
 次の行動に最適な位置を取るスキル。
 攻防共に有用なスキルであり、発生確率は基本的にT値・S値で決定します。

▼再生能力(射程:至近 標的:自分)
 異常なまでに細胞の形成速度が速く、自動的に体力が回復するスキル。
 ラードスチが生まれ付き有している能力でもあり、母国での彼は、
 「人間ではない」として迫害されていました。
 だが、ジュアスを駆る今となっては、致命傷を避けられるこの能力に感謝しています。

▼鋼の左目(ラードスチ専用 射程:至近 標的:自分)
 脳に影響を与える義眼により、先読みの発生確率を上昇させるスキル。
 このスキルの影響で、S値を殆ど持たないラードスチのスキル発生確率は、
 格段に上昇しています。

▼異常身体能力(ラードスチ専用 射程:至近 標的:自分)
 ラードスチが生まれ付き有していた、人間離れしている身体能力。
 代わりに、アーレント結晶に対する適合力を完全に失ったと見られています。
【リレーションシップ】
 →《アンゲル・ジヤヴォール》リーリヤ・スマトロェーチ
PL:オッツダルファ
イラスト:オッツダルファ