《アンゲル・ジヤヴォール》リーリヤ・スマトロェーチ
   ――愛を忘れ、記憶を求める二律背反者

リーリヤ・スマトロェーチ

種族:
ニューエイジ
強化:
アーレント適合
クラス:アダプト スタイル:ヴレイザー
チーム:パラクセノ
ランク:S
能力値:P0 T0 S15
貢献値:AUG+13 EE+12
年齢:
23歳(外見)
性別:女
誕生日:11月6日
身長:164cm 体型:一般的
髪色:くすんだ桃色
    瞳色:茶色と青緑のオッドアイ
肌色:色白
一人称:あたし/アタシ
二人称:あんた、〜さん
口調:〜よ、〜じゃん、〜あげる
装備:
能力増幅媒体【ラードスチ】
ジェムライト・コート
ファラク【サブヴァーニエ】
ウォトカの瓶
誰かとの写真

スキル:
機兵操縦能力
結晶適合
結晶結界術
二重人格


特殊スキル:
なし




   
 「誰に話し掛けてんの、あんた。人間の分際で。
  アタシはニューエイジ…新人類よ、下等種の癖に立場を弁えなさいよ」
   「あたしが差別者? 失礼ね。種族はみんな平等。そんな事、言う訳ないでしょ」
    「あれ…あたし、アタシ…何を言ってたんだっけ…誰か教えてよ…」
     「ねえ、あんたのジュアス、あのアニメの主役っぽいよね。もしかして好き?
      そっか、実はあたしもなんだ。…会った事はないかって? ないかな…」
      「何あいつら、今更ジュアスとか戦闘機乗り? いやだいやだ。だっさい…。
       ニューエイジのファラクが一番強いって今から教えてやる」
       
性格・経歴・設定

【性格・外見など】
流れ者が勝手に行動するチーム「パラクセノ」に在籍するブレイカー。
AUGにある某R国出身の女性であり、二重人格者。
その性質から「アンゲル・ジヤヴォール(天使と悪魔)」と呼ばれる事もある。
名前の由来が「百合」の為、愛称は「リリ」「リーリ」「リリウム」等と多彩に渡る。
元は某R国から木星圏に移住したエウロパ軍人であり、
先天的・絶対的なアーレント適合能力から将来を有望視されたアダプトかつ
「ウィジェ」のテストパイロットだった。
種族はヒューマンだが、軍属の間に実験体として「ニューエイジ」に改造されている。
3年前に起きた、とある事件の後に、軍から記録が抹消された。
その後、紆余曲折あった末に、ブレイカーとして活動するに至っている。
廃棄されかけていた「イオ」を買い取った後に、桃色の機体へとカスタマイズし、
これも先天的な工学才能によって造り出された当機により、主に宇宙で活動している。
主な目的は、当機「サブヴァーニエ」のカスタム時に積もったローンを支払う為だが、
出撃する度に費用が掛かる為(被弾回数は0。莫大な推力でお金を取られている)、
借金地獄からは、未だに抜け出せていない。
「サブヴァーニエ」は、リーリヤの持てる知識を詰めた非常に高性能な機体なのだが、
好奇心から高性能を求めた故の高価な推力であり、皮肉としか言い様がない。

くすんだピンク色の、癖の強いロングヘアが特徴的な女性であり、
瞳の色は、左目が茶色、右目がアーレント結晶を思わせる青緑のオッドアイ。
オッドアイとしては非常に珍しい色合いだが、それは後天的な物であるが故に。
また、女優やガイノイド・リベルノイド並に整っている訳ではないが、
肉付きがよく、色白ながらも暖かみを有する顔、いたずら好きな猫の様に、
ころころと大きな瞳や唇が表情を変える様は、チャーミングである。
癖っ毛に混ざって生えている、ピンク色の突起物も同様。
これは実験体として「ニューエイジ」となった際に、普通の「ニューエイジ」に
存在するはずの尖った耳の代わりに、彼女の頭頂部から生えて来た物であり、
突起物(ブラスターアホ毛とも呼ばれる)は、感情によって動き、表情が変化する。
酒好きで、バーが居場所。ウォトカを使用した濃度の強いカクテルが好物。
チョコレートボンボンなど、お菓子(出来ればお酒が入っているといい)も好み。
なかなかない外見故に、男性から声を掛けられる事も多く、
彼女はその度に笑いを浮かべて「酒で勝てたら好きにしていい」と勝負している。
その言葉でいい気になる男性も多いのだが、彼女のアルコール耐性は
尋常では無く(埋め込まれた結晶が半分吸収している)7年経っても無敗である。
なお、実力行使する相手には、容赦せずにアダプト能力を使って半殺しにする。

そんな気さくで大らかな性格から、基本的には誰にでも好かれる様な姉御肌。
常に自信満々だが、自らが「昔の記憶」を失っている事を気にしており、
その度には「あたしって駄目だ」と弱音を吐き、周囲から慰められる事も多い。
口癖は「いやだ、いやだ」。大体はそこから「お酒を飲もう!」となる。
ただし、そう言った性質は、彼女の一人称が「あたし」の時に限る。
彼女は「ニューエイジ」になって以来、副作用として二重人格となっており、
「あたし」の時は素の性格が現れるのだが、「アタシ」かつ、強い口調になると、
「ニューエイジ」としてのプライドが極端に増長した、傲慢な性格となり、
「ニューエイジこそ新人類、すなわち他の種族は下等種なのよ」と言い張っては、
周囲に吐き捨てて、他種族を殺害する事にも躊躇しない危険人物となる。
任務に関しても、他種族抹殺の任務を好んで引き受ける様になる。
その際にはカリスマ性を発揮し、彼女を信奉する「ニューエイジ」は少なくはない。
「あたし」と「アタシ」は不定期に入れ替わり、本人は二重人格だと自覚していない。
なお「意志」を強く持って片方が活動している場合、入れ替わりは起きない。
この「二重人格化」を外的要因で制御できるのは、アルコールだけであり、
性質を知っている友人たちは、飲みの時はアルコールを常に彼女へ投下している。

【境遇】
AUGの某R国で産まれたヒューマンであり、貴族階層の出身。
「銀髪」で「両目が茶色」の少女であった。
6歳になる頃に、AUGに嫌気が差した人間たちがエウロパに行く為の移民船へと、
両親の手で共に搭乗させられ、以降はエウロパの人間として暮らして来た。
故郷に関する記憶は既に殆ど持っていないが、
幼少時に、某J国で旧世紀に放送されたアニメが好きだった事と、
親が飲んでいたウォトカの香り、国に積もっている一面の雪景色は思い出である。
エウロパの生活に馴染んでいるが、誰にも通じないR国語が心の底から離れない為、
自身はエウロパ人ではなく、あくまでR国の人間なのだと言う誇りを有している。

エウロパにおいては普通に暮らしていたが、19歳のある日、
軍の調査の結果、自身が驚異的なアダプト…地球には殆ど存在しなかった為に、
意識していなかったアーレント結晶への適合能力を、先天的に有していると発覚。
「特別待遇で軍に迎え入れる用意がある」と言う軍人の言葉を聞いて、
彼女はいきなりの話に思い悩むが、両親が「そう言う事なら是非」と勝手に返答。
リーリアは、両親が「貴族階層に咲き戻りたい」と言う欲望を持っていた事を
知っていた為、閉口したが、そんな両親が嫌いでもなかったが故に、承諾した。
以降は、軍の研究施設で暮らす事になり、リーリアはアーレント結晶とやらに触れて、
確かに才能があるのだろうと、結晶の意識体と、心で会話出来た事から自覚した。
それは、普通のアダプト…先天的適合者においても難しいのだと、知りもした。
研究者たちはそんな彼女の「存在」に狂喜乱舞し「ウィジェ」のパイロットに推薦。
「ウィジェ」は、エウロパで開発されている最新型の機動兵器であった。
リーリアとしては、元々、某J国のアニメ的な「ウィジェ」に憧れを抱いていた事と、
工学的な勉強が好きだった事が重なり、歓喜する。
それから、彼女は最新型の可変機「ウィジェ・コメット」のパイロットに抜擢された。

1年後、ノンアルコール・カクテルを飲みながら軍の廊下を歩いていた彼女は、
どうやら適合率が存在せず「イオ」に拒絶されたらしい長身の男性と、
彼に対してまさかの「アーレント適合手術」を迫る研究者の会話場面に遭遇する。
リーリヤは呆れてしまった。軍に入ってから過激派の研究者がいる事は知っていたが、
元々適性のない人間に「適性を高める」手術をするなど、無意味でしかない。
0に何をかけても、数値は0から変わらないのだから。
実験体にしたいんだな…と思い、見ていられなくなった彼女はそこに割り込んだ。
「ホラ言うんじゃないよ、おっさん。実験で人殺しなんて、あたし、いやだよ」と。
超級のアダプトとして、研究者の間ではある程度の立場があるリーリヤを見て、
当の研究者は舌打ちをして何かを言ったが、彼女は彼に舌を出して追い払った。
自分が、軍において実験体として扱われている事は、自分が何よりも知っていた。
だからこそ、これ以上、無駄な実験体を増やしたくなかったのだ。
実験の話を受けていた男性を振り向くと、彼は自分よりも圧倒的な長身であり、
恐らくは自分と同じ、某R国出身ではないかと思われる雰囲気を持っていた。
いい加減っぽく見えながらも、真面目そうな所など、特にそう感じさせる。
ずっと自分を見つめている彼をからかい、普通の会話にまで持ち込むと、
「ラードスチ・クリスビッチ・キリウ」と名乗ったその青年は、自分と同年代で、
確かに某R国出身の……名前からして、某R国人と某J国人のハーフであった。
どうやら同じ移民船に乗っていたらしく、同郷者の存在に嬉しくなった彼女は、
「これも何かの縁だし、たまに会ったりして話そうよ」と気軽に告げると、
当の彼は、頬を赤くして「そうだな、悪くないな」と呟いただけであり、
シャイなんだと苦笑したが、そんな彼に惹かれている自分がいるとも感じていた。

その後、何度か会う内に、リーリヤは完全にラードスチに対し想いを寄せていた。
同郷であるとか、実は同じアニメが好きだったとか、そう言う事もありはしたが、
「理想」を有して愚直に戦う男性としての彼は、非常に魅力的であり、
それに、軍の中では唯一、リーリヤにとって心を許せる存在だったのだ。
だがその日、自分に対する告白の中で「理想」を捨てようとしていた
ラードスチに対して、そんなラドはラドではないとカッとなり、激しく怒った後、
「現実逃避なんて、いやだいやだ。ちゃんとするなら、お姉さんはOKだよ」と。
少しだけ上から目線で。彼に元に戻って欲しかったからこそ、怒って告げた。
ラードスチは苦笑してから、「ちゃんと」活動する事を宣言した為に、
リーリアはほっとして、満面の笑みを浮かべながら、隻眼の彼へと言った。
「よし。なら、あたしがラドの目になったげる。嬉しい?」と、少し甘えた声で。
ラードスチが頷くと、リーリヤは彼の胸に、お守り…百合のブローチを付けた。

ラードスチと付き合い出してから3年後……可変機「ウィジェ・コメット」の、
彼女が担当している「試作4号機」は完成間近となっており、
軍の研究者から、同調率を更に高める為に「人工ニューエイジ化」手術を
受ける様にと打診される。
「試験段階の技術だが、命を失う危険はない」と言われた物の、
明らかに怪しい手術ではあったのだが、
ジュアスを操って「理想」に向けて着々と歩んでいるラードスチの事を考えると、
自分が頑張らない訳にはいかないと思えた為、実験体になる事を承諾する。
実験の際に、身体の中へアーレント結晶を埋め込まれ、自分の中に意識体が
入って来る事を感じ、気持ち悪い感覚を抱いたまま、彼女は眠りに付いた。
目が覚めた時に「手術は成功したよ。君は完璧だ。お疲れ様」との研究者の声。
あれからどうなったのかと、鏡を見ると、彼女の胸元にはアーレント結晶が
存在しており、これは予想通りだったのだが……予想外の事が起きていた。
「これじゃ、ラドは、あたしが誰だか分からないじゃない…」
項垂れて涙を零しながらそう呟いた、彼女の髪の色は、
銀色ではなく、くすんだ桃色に変貌していた。
眼も、恐らくはアーレント結晶の影響なのだろう、右目が青緑色になっている。
更には、後天的かつ不完全な技術で「ニューエイジ」となった証拠なのだろうか。
桃色の髪からは、ポニーテールの様に、生き物さながらに動く触角が伸びていた。
確かに、アダプトとしての能力は、圧倒的に高まっているのを感じる。
だが、今の自分を、ラドはリーリヤだと認識してくれるのだろうか…。
心が弱っていた彼女は「無理だ」「だとしても嫌われる」と思う事しか出来なかった。
追い打ちを掛ける様に博士たちが告げたのは「ニューエイジは年を取らない」と言う事実。
リーリヤの顔色は真っ青になった。
年を取らないのならば、ラドがお祖父さんになっても、自分は若いままだという事だ。
パニックに陥った彼女は、ラドから距離を取り、パイロットに専念する事を決意した。
凛々しく強い仮面を被り…仮面の下の涙を拭って行こうと、そう決めた。

A.A.82、リーリヤが24歳になる半年前に「コメット」は完成を迎えていた。
開発陣がパーティを行っていた時、突如、木星付近にフローターズが出現。
これまでにない程に大規模なフローターズに対して軍は「ウィジェ」を出動させる。
最強の「ジュピター」は出撃で国家予算が動く事から迂闊に出せない為に、
汎用型の「イオ」を中心に攻勢を仕掛けるが、戦闘状況は一進一退であった。
そんな時、軍本部から、リーリヤが乗る「コメット試作4号機」の出動要請が掛かる。
彼女としては、正直、本格的な実戦に耐えられるのかは疑問であったが、
研究者陣営が返答してしまった為に、出撃する事となる。
コックピットに向かう時、頭によぎったのは、死の恐怖ではなくラードスチの事。
何で自分は、こうも求めているのに、会いに行かなかったのだと苦笑したが、今更。
出撃した「コメット」は彼女のアダプト能力と感応し、
凄まじい速度でフローターズをたちまち撃破し、戦況がエウロパ側へと転んだが、
唐突に出現した、人型フローターズの攻撃を背後から受けて、「コメット」は大破。
リーリヤにはその攻撃を見切る事が出来ず、コックピットに傷を受け、
苦笑して「ラド…ごめんね」と呟いた後、意識がブラックアウトした。

【その後】
A.A.84、リーリヤはブレイカーチーム「陽桜葬雪」に救われる。
「あ、起きましたか…よかったです。1年間も眠っていたんですよぅ…心配しました。
 太い注射とか刺したりしたんですけど、そのせいじゃないですよねぇ…あはは…」
そう言う、チームメンバ《プリマヴェリーレ》篶屋・もよぎの言葉を受けるが、
リーリヤは、ここ5年程の記憶を完全に失っていた。一体自分は何をしていたのか。
その事を話すと、《メディクス・ニクス》アリサ・キリルは、
「宇宙を、何だっけ、ほら…ロボット? アレで漂流していた所を見付けたのよね。
 お腹に傷を負っていて、多分危なかった。パイロットだったのかな…?」と言う。
自分がロボット…「ウィジェ」に乗っていた記憶はなかったのだが、
第三者が言うのならば、自分が忘れているだけで、何か関わりがあったのだろう。
「ありがとう、ございます…。後でお代は払います…ごめんなさい…」
少しでも記憶を取り戻したかったリーリヤは、頭を下げて「陽桜葬雪」の拠点を出る。
放浪していた彼女は、時々「知らない場所に自分がいる」現象に苦悩しつつ、
(ニューエイジになった際の副作用である、二重人格化がもたらした現象。
 本来のリーリヤの記憶の中に、もう一つの人格で行動した時の記憶はない)
そんな時に、廃棄処理上において、廃棄される寸前だった「ウィジェ」を発見する。
これは、自分の記憶を取り戻す手掛かりになるんじゃないだろうか?
そう思ったリーリヤは「ウィジェ」に関して交渉していた、
<外宇宙商工連合>と言うチームに頼み込み「ウィジェ」をローンで売ってもらう。
気前よく引き渡してくれた《星喰らい》「ゴンちゃん」であったが、
「その分、ローンは通常の3倍ですカラねー、hahahaha!」と言う事で閉口。
莫大なローンが溜まったが、何故か「ウィジェ」に関しては扱える気がし、
この機体をカスタマイズして、依頼でもこなして返済すればいいと言う考えだった。

リーリヤは、裏の技術屋にカスタマイズの話を伝え、すらすらと書けた
設計図を渡したのだが、その設計図の余りの緻密さに、技術屋は腰を抜かす。
「こんなカスタマイズは見た事がない。姉ちゃん、あんた、一体何者だ?」
そう聞かれても、記憶喪失なのだから答える術がなかったが、
技術屋はリーリヤを気に入ったらしく、カスタマイズの案を練る事になる。
「1年あれば出来る」と言われた彼女は、その間、少しでもローンを返済する為、
アダプト能力を活かして、ブレイカー活動を行う事にした。
どうやらブレイカー活動を行うには「チーム」に入らないといけないらしいのだが、
あまり人間関係を持ちたい気分ではなかった彼女は、「パラクセノ」と呼ばれる、
来る者拒まず、去る者追わずの、流れ者のたまり場チームを選択。
単独でこなせる仕事を受けて、生活費とローンの支払いを重ねて行った。
1年後、カスタムを依頼していた「ウィジェ」…否、通称「ファラク」が完成する。
その外見は、自分が幼い頃に好きだった、祖国で放送されたアニメから取っており、
原形となった「イオ」の印象は殆ど存在しない。
「宇宙の騎士」をイメージし、桃色に塗られた機体は、自身の記憶の残照でもあった。
以降、リーリヤは「サブヴァーニエ」と名付けた「ファラク」と共に宇宙を駆ける。
…高性能を追求し過ぎたが故に、出撃費が嵩み、ローンの足しにはならないのだが。

現在、リーリヤの実年齢は27歳。外見年齢とは4歳の違いがあるが、既に慣れた。
月日が経つ度に、彼女は「昔の記憶」こそ思い出せてはいない物の、
「現在の記憶」が構築されており、何故か「この差別主義者め」「人殺し女」などと
罵倒される事も多いのだが、その間に長年の付き合いが出来ている友人たちも、
数多く存在していた。
<暁の比翼>に所属する《陽炎》朔・煉華とは、ある出来事を通じての飲み仲間であり、
有名なチーム<宝石箱>に所属する《ジュエルボックスII》翡翠も、
記憶障害があるらしく、そう言った関係で出来た、大切な仲間の1人である。
「ねえ、リーリ。記憶障害はショックだけどね、意外と大事な事は忘れない物だよ?
 だから落ち込まないでって言うか。そう、忘れない…きっと、君は思い出せるよ」
彼らは、彼女に偏見を持たずに接してくれる。それに一体、どれだけ救われているか。
そう思いながら、リーリヤはウォトカのロックやカクテルを飲むのであった。
「あ、前にも誰かと2人でウォトカを…」。そんな風に、少しずつ、進みながら。
「陽桜葬雪」に救われた頃から胸に潜ませている、古ぼけた写真に載っている男性…
それが一体誰なのかを、きっと思い出せますようにと願って。

装備
■能力増幅媒体【ラードスチ】
 リーリヤが有する、最大級のアダプト能力を発揮させる、アーレント結晶の媒体。
 アダプト最大級能力である結晶結界なども、この媒体があってこその術式である。
 彼女の身体の内部に埋め込まれており、彼女をヒューマンからニューエイジへと
 変貌させたキッカケでもある。
 これを取り出す事は彼女の死を意味する程、密接な関係にある。
 某R国語で「喜び」を表わす「ラードスチ」と言う名称を付けて愛でているが、
 何故この名前にしたのかと聞かれると、リーリヤにも理由が分からず、混乱する。

■ジェムライト・コート
 エウロパで造られた、S級アダプト用の、アーレント結晶を使用した特殊コート。
 各所に散りばめられた結晶体が表面にフィールドを形成しており、
 強化繊維にも勝る非常に高い防御力と、アダプト能力の効率化を実現している。

サブヴァーニエ
■ファラク【サブヴァーニエ】
 型式番号:GGX−LC
 素体提供:外宇宙商工連合  基本全長:4.846mm
 基本重量:5.598kg
 走行速度:270km/h
 飛行速度:650km/h
 駆動時間:約45分
 エンジン:キリムラ重工製・85純度アーレント・ハイ・カスタム
 基本出力:26万2800馬力
 基本装備:裏改造屋製・GGX−LC−A「アジノチェストヴォ」
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 リーリヤが、廃棄される所だった「イオ」を回収していた「外宇宙商工連合」から
 素体を買い受け、裏改造屋と相談した上で、数年の歳月を掛けてカスタムした機体。
 桃色に塗装されたその外見からは、原形が「イオ」だと想像するのは難しい。
 素体こそ「イオ」でありながら、リーリヤが有する工学知識に基づいて、
 極端に各部の「不要な部分」を排除し、軽量化された流線型の装甲に覆われ、
 各部にスラスターやパワーユニットを追加した本機は、
 華奢ながらも、パワー・機動性において、通常機の数倍と言えるレベルに達する。
 また、各部が非常にシンプルに纏まっている事から、整備効率も抜群。
 素体の「イオ」が廃棄された段階で、結晶複合装甲の大半が砕けていた為、
 実際の防御力は非常に低いが、彼女が有している、圧倒的過ぎるアダプト能力と、
 廃棄された際に覚醒したアーレント結晶体の共振によって造り出されるフィールドが、
 光輝兵器・実体弾共に無効化する、強力な壁として機能している。
 武装は右腕と一体化した「ジェムライトガン」…アジノチェストヴォ(孤独)のみだが、
 結晶との共振がエネルギーを増大させる為に、出力は通常型の比ではない。
 外見は非常に女性的になっているのだが、それはリーリヤの記憶に残っている、
 「孤独な白い宇宙の騎士」のアニメが影響している。
 名前は某R国語で「忘却」を意味し、廃棄されて「誰からも忘れられそうだった」
 素体に抱いた感情と、記憶が定かではない自身に対する苦笑が由来である。

■ウォトカの瓶
 そのままである。これは装備と言えるのだろうか?
 酔った時には、これで不埒な者を殴り飛ばして気絶させる事もある。
 身体能力が向上している「差別性格時」には致命的な武器になる事も。

■誰かとの写真
 既に古くなっている、長身の男性とリーリヤが一緒に写っている写真。
 リーリヤは記憶の手掛かりとして、肌身離さず所持している。

スキル概説
▼機兵操縦能力(射程:至近 対象:自分・自機体)
 ウィジェ、ファラク、ジュアスへと搭乗可能になるスキル。
 所有者のクラス・能力・所属等の多様な要素で、どの機体を扱えるかが決定し、
 アーレント適合力と、優れた工学知識・操縦技術を有するリーリヤは、
 どんな機体であっても扱える。

▼結晶適合(射程:至近 対象:自分・自機体)
 類稀なるアーレント適合力により、アーレント意識体と心を通わせる能力。
 リーリヤの場合、アーレント意識が薄い「イオ」をすら共振覚醒させ、
 更には浸食を抑え込みつつ、搭乗するファラクの性能を格段に向上させている。
 結晶の意識が高揚した場合【サブヴァーニエ】はスペック以上の能力を発揮する。

▼結晶結界術(射程:近・遠距離・範囲)
 アダプトの有する最上級の術式であり、アーレント力場による結界を造り出し、
 エネルギーを利用して結晶投擲による攻撃やフィールドでの防御を行う。
 アダプトによって、結晶結界の使い方は変化するが、リーリヤが好むのは、
 特に結晶を刃状にして相手へと無数に放つ、通称「クリスタル・スティンガー」。
 差別人格時には出力が上昇し、強化繊維すらも易々と貫通する威力を持つ。

▼二重人格(リーリヤ固有 射程:至近 対象:自分 発生:ランダム)
 状況に応じて性格が変わり、得意な戦闘スタイルが変更される。
 通常性格の場合、行動の安定性や、速度と結晶結界の精密性に長けているが、
 差別性格の場合、極端に身体能力と結晶結界の出力が上昇する代わりに、
 精神的な不安定さが発動し、結晶結界のコントロールが定まらなくなる。

【リレーションシップ】
 →《スターリ・イデアール》ラードスチ・クリスビッチ・キリウ
 →《ジュエルボックスII》翡翠
 →《陽炎》朔・煉華
 →《星喰らい》「ゴンちゃん」
 →《メディクス・ニクス》アリサ・キリル
 →《プリマヴェリーレ》篶屋・もよぎ
PL:オッツダルファ
イラスト:オッツダルファ