■春風にのる、新たな言祝ぎ


「んーえぇ天気やねぇ…」

いつぞやの花見から数ヶ月。ちょっとしたお使いの途中、思い掛けず時間が余ったこともあり煉華はあのコロニーを再び訪れていた。
あれから季節は巡り。すっかり桜の気配は薄れていたが、どこか穏やかな時間が流れる、そんな空気は変わらなかった。
そんな空気と思い出を楽しみつつぶらりとしていた煉華の耳がぴくり、と何かの音を捉えた。

リンッ

それは鈴のなる音。

誘うように時折、微かに風に乗って届く音につられるように、煉華の足はいつの間にかその音のする方、コロニーの奥に誘われるように向かっていた。

おや……

音に誘われればそこは、鳥居、そして、社。
ざわざわ、と屋台の支度をするあの独特の喧騒が静かなざわめきとなってその場の空気を緩やかに動かしていた。

しかし、祭り、にしては時期がずれているような…
脳裏にこのコロニーの情報を呼び起こそうとしたその時、ふと目に入ったチラシが、答えをくれた。

かつて地球の一部の地域に残っていた、いわゆる旧暦。
それによると今はまだ、
去年
なのである。

古い言葉で、旧正月、といったところか。

古い暦での新年も祝おう、とこの社は祝いの支度を迎えていたのだった。
地元の人らしき、巫女姿の女性に渡されたパンフレットを眺め、煉華の口元には笑みが浮かんでいた。

だって、こんな楽しそうで、素敵なイベント。
自分一人の胸に収めるにはもったいない。
どうやら、このお祭り、というのは新年を、そしてこの一年をまた家族や恋人、大事な人と無事に過ごせるように、という意味合いも兼ねられたものらしい。
昼は旧J国らしくどこか静かに厳かに神に祈りをささげ、夜には一転、新年を祝い、賑やかに獅子や龍を象ったものが練り歩いたり花火もあがったりするらしい。

あの時にできた友達や、大事な家族、たる仲間達はこれを知ったらどんな顔をするだろう。

そう考えただけで、そして、そんな嬉しそうな様子を想像するだけで、煉華はいてもたってもいられず、くるりと踵を返しつつ、通信の内容を考えていた。


■担当:十七夜
■冒険公開日:A.A.0086 02/20 AM00:25
■冒険出発日:A.A.0086 03/14 AM23:59
■プレイング文字数:600
【※このシナリオは「β版」となります。
今後運用されるシナリオとは仕様が異なる可能性があります。
ご了承下さい。】

■説明
初めまして。

このたびは、OPを覗いていただきありがとうございます。
MSを初担当する、十七夜、と申します。
至らぬところもありますが、皆様の楽しい、かけがえのない宇宙でのひととき。
大切な思い出を紡ぐ手伝いができたら、と思いいます。

さて、少し時期外れにはなってしまいましたが、今回のシナリオ、
「初もうで」です。

OPにも書きました通り、今回のシナリオでは

昼:一般的な初詣。
神社に参拝したりおみくじをひいたり、お守りを買ったり。
(ちなみにこの神社、商売繁盛をメインに、人と人の「縁」を護る、なんてこともしていたり)
屋台もありますが夜にくらべてややおとなしめ。
ゆったりのんびりしていただければと思います。

夜:いわゆる中華街などの旧正月です。
花火や場合によっては爆竹がなり、獅子舞や竜舞が境内だけでなくコロニー全体を巡ります。
屋台も断然にぎやか。
昼に比べて、お祭り、というか宴会というか、の要素が強くなります。

ご希望であれば
昼は着物
夜はチャイナドレス、などの中華服

に着替えることが可能です。

精一杯、担当させていただこうと思います。
よろしくお願いいたします。

そしてみなさまにとっても、よい一年となりますように…。