■花霞、星の海にて


「ねぇ、みんなー!お花見行かないー?」
拠点間通信用開放チャンネル、映像端末の向こう。
満面の笑みで前時代的な思い付きを語るのは、
ブレイカー達にはお馴染みの、白橡色の髪のリベルノイド──翡翠だ。
……いや、違う点が一つ。
子供のように目をきらきらさせている青年の後ろに、
ひっそりと隠れるように、白い髪の少女が立っている。
その手に大事そうに抱かれているのは、レトロな紙媒体の観光案内。
「ニーナ!」
「お主……幼い少女をたぶらかすとは、それがしでも擁護できんぞ」
「待って待ってって、違うってば。これはニーナからの依頼なんだよー。つまりね、」
大事な人やお世話になった人に、お礼の気持ちを込めて。
どこかに遊びに誘いたいって、思ったんだって。
翡翠はそれだけ語ると、傍らの少女を見やり。
「ね、ニーナ?」
その言葉に、少女は耳まで真っ赤になりながら、こくこくと頷く。
「……みんなで、どこか。遊びに、いけたらな……です。内緒で、驚かせようと、思って……
だけど、悩んで、しまって……」
「うん。で、俺が余計なお世話したの。ならお花見に行こう、って」
おめぇが行きたかっただけだろそれ、のツッコミは華麗にスルーして、翡翠は続ける。
「いいじゃない。せっかくだもん、人数多くて賑やかな方が楽しいしね」
それにこれがきっかけで、新しい出会いが生まれてもいいよね、って思ってさ。
そう語る翡翠の表情は、今にも飛び出していきそうに楽しげで。
そのうきうきした気分のまま、翡翠はいくつかのウインドウを表示する。
そこには満開の桜が並ぶ公園と、古代のJ国にあったようなレトロな「出店」の並びが映っている。
所謂「縁日」というやつだろうか。
「お花見はね。場所は、地球と木星の間にあるJ国由来のコロニー。
AUGも帝国もチェックは厳しくないから、そこは気にしなくていいよ。そのコロニーの、ここの公園」
とん、と、翡翠は愛用の銀煙管で、コロニーの端を示す。
「公園はね、J国の桜がいっぱいに咲いてるの。見渡す限りに。
それでね、周囲は投影型プロジェクターで昼は青空なんだけど、
夜はプロジェクターを消して、満点の星空になる。
でね、桜をライトアップするんだって。
そうするとね、まるで、いっぱいの花吹雪が、宇宙に浮かんでるように見えるんだって」
そう言って、翡翠はその風景を想像するように、瞳を閉じる。
「きっと、きれいだよねぇ。俺さ、桜大好きなんだ」
そう言って、ふわりと笑う。
「ニーナは、桜見たことないんだって。
だから、みんなと一緒に見れればいいよね。お弁当持ってさ」
と、そこまで言って、思い出したように翡翠は言葉を重ねる。
「そうそう。お弁当持ってきても、いいし。お酒とおつまみとか。
でもお酒は、見た目とか実年齢が20歳以下の子はだめだよ。俺が怒られちゃう」
何か思い出したのか、翡翠は肩を落としてみせて。そして、と、「縁日」の画像を指してみせた。
「このコロニーではね。J国に昔からあった、「縁日」って屋台が出てるんだって。
えっとねー、たこ焼き、焼きそば、お好み焼きに焼き鳥。林檎飴にチョコバナナ、水飴。
射的とか輪投げとかもあるって。あと、他にもいろいろ。俺もやったことないなあ、こういうの」
楽しそうだよね!と、目を輝かせながら語る。
「きっと、仲いい人と回ったら楽しいし。射的で勝負、とかも楽しいかも」
縁日で食料買い出して、お花見っていうのもいいよね。
「あ。あのね、それでね。着物の貸し出しサービス、とかもやってるんだってさ。
だから、着てみたい人はお願いしたら、ちょっといつもと違う気分が楽しめるかも」
俺もみんなの着物姿見たいなぁ、と、翡翠はふわふわと笑う。
「こんなところかな。
あ、でも。民間人がいるから、破壊活動とか戦闘行動はだめだよー。危ないからね。
あとは飲み過ぎ注意。……注意点はそれだけかな。
だから、みんな好きに楽しんでくれればいいよ。
チームの仲間とかと一緒にさ。俺も誰か誘ってくれたら嬉しいけど」
「……はい。わたしも、できたら暁の皆や、お世話になった皆さんと過ごせたらな……って、
思ってる、です」
そう言って、少女は花が綻ぶように微笑む。
「……もうすぐ…春本番、ですから。……みなさんと、春の訪れ……楽しめたらな、って。
……どうか、よろしく、お願いします、です」
そう言って、頭を下げた少女に倣い。
青年もその横で、深々と頭を下げた。



======

「へぇ。お花見、ねぇ」
なんとはなしに通信を聞き流しながら、女は呟く。
依頼ではない。報酬も出なければ、おそらくは「あの男」も来ない。……無意味な誘いだ。
…もちろん、気まぐれに行ってみることもありだろうが。
女はどうでもよさそうな顔で、通信を切った。



======

「……花見。カ」
少女は、ぽつりとつぶやく。
花の風情などわからないが……身分を隠して行くことは、彼女には容易なことだ。
「……。」
少女は、僅かに考えて――読んでいた本に、再び視線を戻す。



======


「こんな時、だけどさ」
翡翠は言う。
「こんな時、だからこそ。みんなで出掛けたりしてさ、知り合えてたら、
何かあったときに結束できるよね、って、思うんだよね」
だから。
「精一杯、楽しもうね。それで、また会おう?」
そう言って、翡翠はふわりと笑った。

銀河に浮かぶ桜の海へ。
遊びに行ってみませんか?


■担当:津田えいな
■冒険出発日:3/26 AM08:30

【※このシナリオは「β版」となります。
今後運用されるシナリオとは仕様が異なる可能性があります。
ご了承下さい。】

■説明
お世話になっております。当ミッション担当の津田えいなです。
大変お待たせしました、「ミッション」の仮運用開始です。
まずは、のんびりと、お花見のお誘いに参りました。

以上のオープニングをお読みになった上で、
あなたのキャラクターが何をしたいかを、文章(プレイング)でお伝えください。
今回のシナリオでできることは、概ね以下のようになります。

1.屋台で遊ぶ
屋台で遊びます。食べ歩いたり、ゲームで勝負したり。
現代の屋台にあるものは大概あります。ご自由にどうぞ。

2.着替える
「着物に着替える」ことができます。
ご希望の方は、着物の色柄等イメージがありましたらそれを。
なければお任せと書いてくださいませ。

3.お花見
星空に浮かぶ満開の桜のお花見です。
夜がオススメですが、昼でもかまいません。(指定がなければ夜として扱います)
花を楽しむ、お菓子やお弁当を楽しむ、デリバリーを頼む、
お酒を楽しむなどご自由にどうぞ。
現代のお花見でやることはだいたいやれます。
ただしあんまり周りに迷惑かけるとか破壊行為はやめよう。

ご一緒なさりたい方がいらっしゃいましたら、
最初に同行なさる方のお名前、もしくはグループ名をお書きください。

なお、ニーナと翡翠が同行致します。
何かありましたらプレイングでどうぞ。
特になければふらふら花を見ています。

以上の項目について、
100〜600字くらいの文章で行動ややりたいこと、言いたい台詞等をまとめた上
(箇条書き等でもかまいません)
プレイング投稿用フォーム(後日用意します)よりお送り下さい。
不明点は管理局Twitterまでお伝え下さい。
締切は「3/26 AM08:30」です。

以上、楽しんでいただけましたら幸いです。
では、どうぞよろしくお願いします。